お仏壇の選び方

金仏壇

前開きと三方開き

略式のお仏壇を除けば、お仏壇には二重の扉がついており、外側の扉を雨戸、内側の扉を障子と呼んでいます。もともと、お仏壇はお寺の造作をコンパクトにしたものですので、お寺同様に雨戸と障子があるのです。
この雨戸と障子の取り付け方法は2種類あります。手前に開くのが前開き、さらに左右に大きく開くのが三方開きです。

前開き
金仏壇 前開き
西用京型前開き

二重の扉が手前だけに開くお仏壇を前開きと言います。
場所をとらないので、小型仏壇はほとんどがこの形式です。

三方開き
金仏壇 三方開き
東用三方開き

二重の扉を手前に開いてから、さらに左右に広げることができるお仏壇を三方開きと言います。大型仏壇に主流のタイプで、特に一間仏間用彦根型では、三方開きが標準です。左右に開く扉を、カンヌキで固定することができます。普段は、カンヌキで固定したまま前開きのお仏壇としてお使いになり、仏事などの時に左右に大きく広げて使うのが一般的です。

デザインの違い

お仏壇の基本的なデザインは産地によって区別されます。お仏壇は伝統産業のため、地名そのままが使われる事が多いのが特徴です。ここでは、お仏壇の春堂が取り扱う、岐阜地方で一般的なお仏壇のデザインをご紹介します。

全国共通普及型
金仏壇 全国共通普及型
東三尺仏間用前開き

産地の特徴をあえてなくした、全国的に広く販売されるお仏壇です。小型仏壇で、量産により値段が安いのが特徴です。三尺仏間用から4尺仏間用の小型、中型仏壇が主力です。

京都型
金仏壇 西用京都型四尺仏間
西用京都型四尺仏間
金仏壇 東用京都型一間仏間三方開き
東用京都型一間仏間三方開き

京都型は上品さが魅力です。金具類は必要最小限しか使用せず、すっきりと仕上げます。仏壇内部は金を使用しますが、仏壇の表側では金を使用せず、塗りも黒のみ。三尺仏間用小型から、一間仏間用三方開き大型仏壇まで各サイズあります。全国的にも高級ブランドとして売れています。

彦根型
金仏壇 彦根型
東用一間仏間三方開き御堂造り

岐阜市を含め西濃地方で仏壇と言えばこの彦根壇です。もちろん県内全域で普及しています。京都壇と似ていますが、金具類も多く打ち付けてあり、雨戸表側は木目が見える塗りを使います。全国的ブランドでもあります。小型中型のものもありますが、やはり彦根型と言えば、一間仏間用三方開きの大型仏壇が主力です。

名古屋型
金仏壇 名古屋型
東用一間仏間名古屋型御坊造り三方開き

名古屋型は名古屋市周辺地域だけに普及しているお仏壇です。岐阜県内では岐阜市中央部より南、各務原市、川島町、羽島郡、羽島市、安八郡等で普及しています。
お仏壇の幅に対して高さがあり、安置するためには名古屋壇用に特別なサイズの仏間が必要となります。お仏壇の下部が独特で、三つの大きなまくり上げ扉があるのが外見的特徴です。これには、洪水時などに下部を残して、本体だけを移動できるようにと言ういわれがあるようです。
小型仏壇から超大型仏壇まであり、2,000万円を超える超高級品も珍しくありません。「何いっとりゃ~す、名古屋壇はどえりゃ~こーきゅーひんだで、よそのやすもん仏壇とは、くらべもんにならんでね。てまひまかかっとるんだがね。かってってちょ(※)」と名古屋の仏壇職人は説明します。

※「とんでもありません、名古屋壇は超高級品です。他の産地のお仏壇とは比べものになりません。手間暇かかるんです。ぜひお買い上げください」の意(名古屋弁)

長浜型
金仏壇 長浜型
東一間仏間用長浜型前開き

長浜型は全国的にみても珍しいお仏壇。浜壇と呼ばれることもあります。一間仏間用の大型仏壇が主力です。横幅サイズが他の産地に比べ一回り大きいにも関わらず、内陣は簡素化されていますので、いかにも広々とした感じを受けます。
岐阜県内でも大垣市西部、不破郡、揖斐郡、養老郡でしか普及していません。秀吉統治時代に起源のある伝統あるお仏壇ですが、普及地域が限られ、どうしても高価になります。希少さが珍重され、一部地域では「じぃさんが生きとるとき、よぉいっとんさったんやけど、やっぱハマやないと仏壇やあらへん(※)」と言われます。

※「祖父が生前言っていたが、やはり浜壇以外は仏壇ではない」の意(岐阜弁)

金箔と金粉仕上げ

金箔と金粉仕上げ

お仏壇に使用する金は、大きく分けて金メッキ、金箔、金粉があります。(金メッキは金属部分に使用いたしますので、「金具による違い」のページでご説明します。)
金箔とは、金を叩いて薄く延ばしたもの。箔と言えばアルミ箔がお馴染みですが、アルミ箔の場合は100分の1ミリ程度の厚みなのに比べ、金箔の厚みは1万分の1ミリ。何とアルミ箔を100枚にスライスした薄さなのです。
金箔は厚いほど高価と思われていますが、実際には金箔の値段と厚みは比例せず、むしろ純度の高い金ほど薄く延びますし、薄く延ばせば良い色つやが出ます。また、「金沢箔」が金箔のブランドとして有名で、「当店のお仏壇は金沢箔を使用」と胸を張る仏壇屋さんもあるようです(実は金箔のほとんどは金沢で生産されています)。

この金箔は通常10センチ5ミリの正方形に切ってあります。これを箔下と呼ばれる塗料を塗った木材部分に並べていきます。文字通り息をのむ作業です。あまりに薄いので、息がかかっただけでくしゃくしゃになりますし、そうなると元には戻せません。「金箔を張る」とよく言われますが。「置く」とか「押す」が正式な言い方です。まさに「置くだけ」。やり直しは利きません。高級仏壇では、大判と呼ばれる21センチ角の金箔を使用したものがあります。この大きさの金箔を扱える金箔職人は数少なくなっていて、どうしても値段が張ります。

金箔と金粉の違い

金箔に代わって、最近中級仏壇より上のクラスで多用されるのが金粉です。金箔は艶がありますし、独特の皺があります。金粉の方は同じ金でも、粉ですから艶消しになり落ち着いた感じが出ます。特に彫刻部分では彫刻が生きるので多用されるようになりました。ただし、ムラが出やすいのでどうしても金を多用することになり、通常の金箔仕上げより値段が高くなってしまいます。

雨戸裏 金箔仕上げ
雨戸裏 金箔仕上げ
雨戸裏 金粉仕上げ
雨戸裏 金粉仕上げ

お仏壇の扉裏部分を比較してみました。左側の金箔は、箔と箔の境目や金箔独特の皺がよく分かります。もっとも、1番よく見える角度で撮影しましたから、実際にはこんなにはっきりとは見えません。対して、右側の金粉仕上げは金粉独特の高級感のある落ち着いた色合いです。

彫刻部分の金箔仕上げ 名古屋型欄間
彫刻部分の金箔仕上げ 名古屋型欄間
彫刻部分金粉仕上げ
彫刻部分金粉仕上げ

左側の金箔仕上げは神々しく金らしい豪華さが売り。ただ、光が反射するため撮影が難しいのですが、実際にご覧いただいた場合も彫刻部分の細かい部分は分かりづらいかもしれません。右側の金粉仕上げの方は、彫刻の具合がよく分かり、金の重厚感と品格が感じられます。また、銀色の部分はプラチナ粉を使用しています。
ちなみに、同じ大きさのお仏壇ですが、左側のお仏壇は200万円、右側のお仏壇は890万円です。

宮殿デザインの違い

お仏壇内には宮殿がしつらえてあります。この宮殿は屋根を持っており、この屋根のデザインでお仏壇の「格式」が決まると言っても過言ではありません。岐阜地方で一般的な形式は、「荘厳造り」「御堂造り・宮殿造り」。東本願寺用仏壇には、この中間に「御坊造り」があります

  • 荘厳(しょうごん)造り
    荘厳(しょうごん)造り
    彦根型東用金箔仕上

    普及品から中級品まで、一般的に使われる宮殿。中央の宮殿屋根が大きくせり出しており、左右の屋根を覆ってしまう大きさです。昔のお仏壇は殆どこのタイプです。
    写真の宮殿は金箔仕上げのため、光り輝いています。柱が艶消しメッキなので、艶が出る金箔と比較するとよく分かります。
    東西両タイプがあります。

  • 御坊(ごぼう)造り
    御坊(ごぼう)造り
    彦根型東用金粉仕上

    御坊造りは東本願寺専用宮殿。東用高級仏壇に使われます。中央の宮殿のみならず、左右の宮殿が別棟の2階建てになっています。また、右側の宮殿には、御開扉と呼ばれる扉がついており、本山である東本願寺御影堂内の開祖親鸞聖人厨子の扉を模しています。

  • 御堂(みどう)造り・宮殿(くうでん)造り
    御堂(みどう)造り・宮殿(くうでん)造り
    彦根型東用金粉仕上

    産地によって御堂造り、宮殿造りと言われる様式です。寺院建築を完全に模した宮殿で、宮殿部分をお仏壇から取り出すことが可能となっております。当然、宮殿そのものも、宮殿部分に隠れた背後の壁にも完全な細工を施さねばならず、手間と時間がかかる贅沢な仕上げです。御堂造りは最高級仏壇の証とも言えます。

金具による違い

仏壇は木材部分の彫刻以外に、金具を打ち付けて装飾を施します。この金具の製作方法の違いで値段が大きく変わってきます。また、その金具に色つけをしたり、金メッキを施す場合、金メッキのやり方も値段に反映します。
金属の板を最も簡単に加工する方法は、金属プレスです。型にはめて、プレス機で圧力を掛けると出来上がります。大量生産が可能ですし、1ミリ以下の薄い金属の板でも、一見分厚そうに見えます。
鋳造と言う方法もあります。プレスほど大量生産はできません。プレスより厚手の金具ができ、もちろん高価です。高級仏壇に使用する鋳造方法は、鋳造精度が極めて高い電気鋳造で「デンチュー」等という言い方をします。
最近は高級仏壇にレーザー加工の金物も使用されるようになりました。
金メッキも、つや出し鏡面仕上げ、艶消しがあります。艶消しのメッキは工程が多くなります。また、艶消しメッキは土台となる金属彫刻部分の「アラ」が良く分かりますので、良い仕事の金属装飾部品に使われます。

  • プレス金具メッキ
    プレス金具メッキ

    普及品のプレス金具メッキ仕上げです。薄い金属をプレスで盛り上げた感じが分かりますか?膨らんだ部分が、何となく丸く仕上がっているのが特徴です。お値打ちとは言え、耐久性については問題ありません。

  • プレス金具艶消しメッキ
    プレス金具艶消しメッキ

    プレス金具の艶消し金メッキ仕上げです。艶消しのため、花の模様の後ろの細かい仕事までよく分かります。
    「プレス金具メッキ」と比べると、プレスの精度が高い事がよく分かると思います。

  • 鋳造金具艶消しメッキ
    鋳造金具艶消しメッキ

    最高級仏壇の柱金具です。金具に重量感があり、いかにもどっしりとして落ち着いています。彫刻部分、膨らみのエッジがくっきりとしているのが、鋳造最高級仕上げならではの特徴です。

  • レーザー加工艶消しメッキ
    レーザー加工艶消しメッキ

    最新技術であるレーザーを使って加工した金具です。緻密で正確に金物をくり抜くことができるので、斬新でモダンなデザインを伝統的なお仏壇の中に生かすことができるようになりました。

塗の種類

金仏壇は、別名「塗り」仏壇とも言います。
塗りの種類は、大きく分けて2種類。「天然漆」と「合成漆」です。この2つは見た目ではほとんど差がありません。
どちらも、黒仕上げ、木目だし、梨地仕上げ、虫食い仕上げなど、バリエーションがあります。最高級仕上げには、「炉色仕上げ」と言い、手で磨き上げるという最終工程を念入りに施したお仏壇もあります。見分けにくい漆についてこだわるより、比較の簡単な金や金具でそのお仏壇の値踏みをする方法をおすすめします。
塗りの仕上げ方法で、お仏壇のイメージが決まりますが、塗りそのものにこだわるより、全体のイメージでお好みを判断しましょう。