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2005.9.1
連続小説 「GAMER 〜NAS芹沢物語〜」 (NAS芹沢@大阪PalmIII)私の名は「なる」。 あ、いや、現在の名は「NAS芹沢」(なす・せりざわ)。 それは、私がゲーマーだった頃。 遠い昔のお話・・・。 第23回「堂々誕生、その名はゲーマー『NAS芹沢』」 なるとみんなは、ゲーセンへと向かった。 ゴウ:なんだか、大変なことになりましたね。 歩きながらゴウはそうつぶやいた。 愛:うわーなんか楽しみ〜。 ゴウ:楽しそうなのは愛ちゃんだけ、だよなあ・・・。 先頭を歩く、なるとあかねの後ろからゴウは二人を交互に見ていた。 なるは、楽しそうに歩いている。 あかねはとにかく怒りがおさまらないという感じだった。 ゴウはこれから何が起こるのか、不安だった。 ゲーセンにいるのは一体誰なのか? あかね:私のなるに少しでも手を出したら、その時点でそいつの息の根を止めてやるわよっ。 握りこぶしに力を入れながら、あかねはぶつぶつ言っていた。 そんなあかねの姿を見て、ゴウは恐れおののいた。 ゴウ:(だめだ、ここまで怒りに燃えたあかねさんを、俺一人で止めるのは無理だ。仲間を集めてでも、あかねさんを止めなければ・・・) みんなは「GAMER」からそう遠くない場所にあるゲーセンにたどり着いた。 あかね:ここによく来てるのね。ようし、私が直接戦うわ! あかねはそういうと、みんなの言うことを聞かずに一人、ゲーセンの中へ飛び込んでいった。 ゴウ:あ、あかねさん・・・もうだめだ、あの目は完全に「昔の目」に戻ってる、やばい、血で血を洗う戦いが始まってしまう〜。 愛:お姉ちゃん、待って! ゴウ:もう、だめだあーーーーっ。 ゴウはしゃがみ込んで、両手で頭をかかえた。 なる:あっ、せっかく場所を案内しようと思ったのに、あかねのやつ、何をそんなにあわててるんだ? 愛:当たり前じゃないの、なるお兄ちゃん。なるお兄ちゃんに別の彼女がいたんだから、お姉ちゃんの怒りがおさまるわけないわよ。 なる:彼女?何のこと?あれ、僕、そんなこと言ったっけ? 愛&ゴウ:えっ、違うのっ? なる:あれ?好きな人がいるとは言ったけど、彼女じゃないよ。 愛&ゴウ:??? なる:みんな、何か勘違いしてない?僕が言ってるのは、このお店の右の一番奥にある・・・。 みんながゲーセンの前でそんなことを話していると、1分もしないうちに、あかねが店の中から出てきた。 あかね:なる、誰もいないんだけど。 なる:???あかね、誰かいると思ってたの? あかね:当たり前じゃない、その女を倒しに来たのよ。なるは私のパートナーなんだからねっ。そんな奴に取られてたまるもんですかっ。 それを聞いたとたん、なるは大笑いし始めた。 なる:そういうことか。ちょっと待った、ものすごく勘違いしてるよ、あかね。 あかね:何がおかしいのよ、私の気持ちも知らないでえええええーーーーーっ。 あかねは格闘家並のスピードでややしゃがみ気味になるに近づいたかと思うと、そこからなるのお腹に左ボディ、さらに顔面に右ストレートの2つのパンチを繰り出した。 なるは後方へふっ飛んだ。 しかし、ふっ飛んで倒れようとした直前に、再度猛ダッシュで近づいたあかねがなるに追い討ちをかける飛び蹴りを一発、背中にたたきこんだ。 倒れたなるは、身動き一つしなかった。 ゴウ:終わった・・・。 愛:なるお兄ちゃん、死なないで! あかね:可憐で純粋な私の乙女心を踏みにじった罰よ。 全力を出し尽くし、ようやく怒りがおさまったあかねであった。 ゴウ:あかねさん、聞いてください。なる様は、このゲーセンの右の奥に案内しようとしていたみたいです。 あかね:右の奥? 愛:そう、さっきなるお兄ちゃんは言ってたよ、右の一番奥にある、って。 あかね:何だろう? あかね、愛、ゴウの三人は、店の前で倒れているなるを無視して、三人でゲーセンの中へ入っていった。 そして、右の奥へ行ってみた。 愛:一体、何があるんだろう? ゴウ:このお店で、右の奥にあるといえば野球とかのスポーツゲームと、あとは麻雀だったはずですが・・・。 あかね:ま、まさかっ!? 三人はお店の一番右の奥に置いてある、テーブル型筐体を見た。 その筐体のコンパネには、Aから順番にアルファベットが振られた白い四角いボタンが横一列にたくさん付いている。 あかね:これって、麻雀のゲーム台? 愛:あーーーーー、もしかして! ゴウ:なる様が好きな人って・・・。 そして、その筐体のデモ画面には可愛らしい女の子が二人、アニメーションしながら微笑んでいた。 あかね:と、いうことは・・・。 あかねはその筐体の説明を見た。 インストカード(ゲーセンに置いてあるゲーム台に貼ってある、遊び方を説明した紙のこと)にはこう書かれていた。 「スーパーリアル麻雀PIII」 あかね:これは、一体どういうこと? ゴウ:これって、今、全国各地で大人気の脱衣麻雀ゲームですけど・・・。 愛:もしかして、なるお兄ちゃんの好きな人って・・・? ゴウ:毎日会いに行ってるのは、本物の女の人じゃなくてもしかして・・・? あかね:ま、まさか・・・? 三人がそう言った瞬間、後ろから声がした。 なる:いや、その「まさか」なんだけども。 そこには、なるがいた。 愛:なるお兄ちゃん、大丈夫? ゴウ:なる様の好きな人、このゲーセンにいる人って、もしかして・・・。 なる:そう、そのゲームのことだけど。 あかね&愛&ゴウ:はあ? なる:ちょっと恥ずかしいんだけど、笑わないで聞いてくれ。 あかね&愛&ゴウ:??? なる:僕は、その・・・彼女たちに、・・・・・・恋したんだ。 あかね&愛&ゴウ:な、なんですってーーーーーーーーっ!!! なるは顔を赤らめて言った。 なる:本気で惚れた、心から・・・愛しているんだ。 三人はなるに近づいて言った。 あかね:なる、大丈夫?あんた、変な病気になってない? あかねはなるのおでこに手を当てながら心配そうに言った。 ゴウ:なる様、冗談も休み休み言ってくださいよおーー。 なる:冗談じゃないんだ。僕は本気なんだ。 愛:もう、単なる脱衣麻雀メーカーにカモにされて、画面の中の女の子の服を脱がせるためにお金をどんどんつぎ込まされているだけじゃない。なるお兄ちゃん、目を覚まして。しっかりしてよ。 愛は、なるの顔を何度も往復ビンタして目を覚まさせようとした。 なる:違うんだ。 なるは突然、あらたまった声を出すと、みんなに言った。 なる:違うんだ。服を脱ぐとか脱がないとか、そんなことはどうでもいいんだ。僕は、真剣に彼女たちを愛している。毎日その笑顔を見ているだけで、幸せなんだ。 なるはいかにも幸せそうな表情を浮かべた。 あかね達三人は、ただあっけにとられるだけであった。 ここで知らない人のために、「脱衣麻雀」について説明しておこう。 「脱衣麻雀」とは、長らくゲームセンターにあった定番ゲームの一種である。 一対一で麻雀勝負をして、プレイヤーが勝ったら画面上の女の子が服を一枚ずつ脱いでいく、というものである。 なぜ麻雀で負けただけで服を脱いでいくのかは永遠の謎であるが、少しでも先を見たいという男性プレイヤーが次々に100円玉を入れることでそれなりにお店としては稼げるジャンルである。 近年はゲーム界全体の自主規制が厳しくなったため、このジャンルのゲームはゲームセンターからは消え行く立場にある。 この物語で出てきた「スーパーリアル麻雀」シリーズは脱衣麻雀ゲームの最高峰とも呼べるもので、10年以上に渡りシリーズが制作されてきた大人気ゲームある。 「スーパーリアル麻雀PIII」(すーぱーりあるまーじゃん・ぴーすりー)は三作目にあたる作品であり(シリーズ中、女の子が脱衣する作品としては二作目にあたる)、芹沢未来(せりざわ・みき)、芹沢香澄(せりざわ・かすみ)の姉妹が登場する。 「スーパーリアル麻雀」シリーズの人気は世代を超えて広がり、ゲームに登場する女の子は今でいうところの「キャラクター戦略」も行われ、関連CDやビデオの発売などにも波及、アイドル扱いとなり一大ブームを築いた。 現在でも、服を脱ぐことは無くなったものの家庭用ゲーム機用、携帯電話用にシリーズに関連したゲームが登場しており今なお人気は高い。 とても一言で語れるような歴史ではないので、これ以上知りたい人は各自で検索とかして調べてください(手抜き)。 あかね:なるって、ほんとにバカだよね。 なる:えっ? あかね:なんていうか、うまく言えないけど、これと思ったら何でもただ一筋に愛しちゃうんだよね、まっすぐで、それでいて不器用で。ゲームのことも、本気で愛してる。 ゴウ:でも、行き過ぎるとこんなことになっちゃうんですね。 そしてさらに十年後には、変なOSが載った小さい機械を一筋に愛してしまうのである。 あかね:でもね、そんなところが・・・・・・好きなのよ。 今度はあかねの顔が赤くなっていた。 愛:なるお兄ちゃん、そんなにこの画面の女の子の方が好きなら、お姉ちゃんと別れちゃえばいいじゃない。 あかね:愛っ!なんてこと言うのよ! なる:それは困る。 なるは即答して、本当に困った顔をした。 あかね:なる・・・。 なる:僕のパートナーはあかねしか考えられない。 なるは真剣に話し始めた。 なる:例えば、『NAS水咲』なんて名前にしてみろ、あかねの本名を使っている以上、あかねの身に何かあったら大変だ。だからエントリーで使う名前は、あえて本名を使わない方がいいと思った。 あかね:なる・・・そこまで考えてたのね。 なる:だからこそ、他の名前を考えていたんだけど、愛ちゃんの「好きな物とか好きな人」という言葉がヒントになった。だから、 なるは胸を張って、一呼吸おいた後にこう言った。 なる:「スーパーリアル麻雀PIII」に登場する、僕が今一番大好きな「芹沢姉妹」にあやかって『NAS芹沢』にしようと思うんだ。 愛:かっこいい名前〜。私は賛成するわ。 あかね:ちょっと、愛・・・。 ゴウ:この名前なら、おそらく全国で付けている人は他にいないですよ、なる様。世界に一つ、ですよきっと! みんなはあかねの方を見た。 あかね:なによ、こんなゲームの中の女より、あたしの方がもっと胸、大きくて魅力的なのに。ほら、なる、見て。 いきなり服を脱ごうとするあかねを、ゴウは必死に止めた。 ゴウ:あーもう脱衣で勝負しないでください、あかねさんっ!や、やめてーーー。これならよっぽど殴り合いの方がましだよ、もう・・・。 なる:だから、脱ぐとか脱がないとかは関係ないの!純粋に好きなの! その日の夜、喫茶「GAMER」閉店後。 店に残っているのは、なるとあかねの二人だけだった。 なる:あかね、まだ怒ってるのか。 あかねは黙々とお皿を洗っている。 なる:あかね・・・。 あかね:なるのバカ。 なる:話を聞いてくれ、あかね。 なるはカウンターの中に入り、あかねに近づいた。 あかね:ん、・・・ま、まあ、本人がその名前が好きで一生使えるって言うんなら、いいんじゃないのっ? あかねは皿を置いて横を向くと、やや突き放したような言い方でそう言った。 いかにも、あかねらしかった。 なる:あかね・・・。 あかね:でも、他の女の子の名前が付いてるなんて、あたしとしてはちょっと妬けるけど、ね。 あかねは不意になるを自分の方へ引き寄せると、両手でなるの腕にしがみついた。 ここに、伝説のゲーマー『NAS芹沢』が誕生したのである。 つづく |