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2005.8.6
連続小説 「GAMER 〜NAS芹沢物語〜」 (NAS芹沢@大阪PalmIII)私の名は「なる」。 あ、いや、現在の名は「NAS芹沢」(なす・せりざわ)。 それは、私がゲーマーだった頃。 遠い昔のお話・・・。 第22回「なるが一番好きなのは?」 なる:僕が、ゲーマーを救う・・・。 平賀:その通り。奴らの脅威はもうすぐそこまで来ている。今こそ立ち上がるとき。 なる:もう一つ教えてください。あの技について。 平賀:あの技は闘気を一点に集中させて放つ、一種の気功術。だが、元は他者を攻撃する技ではなかった。 平賀正義はややうつむきながら話を続けた。 平賀:あの技は、自分が何らかの理由で直接レバー等を操作できないときに、闘気を使うことで遠隔操作するための技。かつての『平賀正義』はこの技を使って、賭け事などのイカサマのからくりを遠くから破壊するために使っていたとも聞いている。 なる:では、この技も代々受け継がれてきたもの・・・。 平賀:そういうことになる。だが奴らはこの技を悪用し、組織の目的を達成するためだけに使っている。 あかね:組織の中でこの技を使っている人がいるのはおかしくない?だって、『平賀正義』は一子相伝なんでしょ?だったら、この技を使える人もこの世に一人だけ、なのでは? 平賀:お嬢さんの言うとおりだ。しかし、奴らの中にも平賀流を継承している者がなぜか存在する。その理由は不明なのだ。 平賀正義はそこまで話すと、あかねの父の方を向いて言った。 平賀:そして、もう一つ別の話もしなければならない。 あかね:別の話? 平賀:今から8年前、組織の存在を偶然に知った私と水咲殿、そしてもう一人の男の三人は、組織の活動について調べていた。 あかねの父もややうつむき加減になったのを、なるは見逃さなかった。 平賀:だがある日、組織は忽然とその姿を消した。理由はわからない。ただ、数年後に活動を再開するかもしれないこと、そのときにゲーマーが重要な鍵を握っていること、断片的ではあるがこの二つが情報として残った。 なる:ゲーマーが? 平賀:そこで、水咲殿はゲーマーについての情報を少しでも得やすくするために『GAMER』という名の喫茶店を開いた。 あかね:うちのお店にそんな秘密があったなんて・・・知らなかったわ。 あかねは父を見た。 父はあかねと目を合わせることもなく、何も言わなかった。 平賀:そして私は組織に対抗できる力を得るために、跡取りのいなかった先代七代目平賀正義のもと修行に入った。君たちに見せた技は、この間に会得したものだ。 なる:なるほど。 平賀:そして行動を共にしていたもう一人の男は、残念だがすでにこの世にいない。 なる:もう一つだけ、教えてください。あなたはどうして勝ち続けなければならないのですか? 平賀:組織から勝負を挑まれたとき、敗北すれば奴らの傘下に入らなければならなくなる。だからこそ、絶対的な強さが私には必要なのだ。 なる:今までのこと、よくわかりました。 あかね:で、なる、どうするのよ?もちろん組織と戦うんでしょ? なるはうなづいた。 なる:それに、多くのゲーマーたちが不幸になるなんてことを僕は放っておけない。 あかね:決まりね。じゃあ私もこれまで以上に力になるわ。 平賀:お嬢さんを危険な目に遭わせたくないからこそ、今まで黙っていたのではないのですか、水咲殿。 あかね:もー誰が何と言おうと、私はやるわよ。一度言い出したら聞かないことくらい、わかってるでしょ? 水咲幸治:・・・なる君、これまで以上に、あかねのことをよろしく頼む。 なる:もちろんです。 なるは微笑んだ。そしてあかねと見つめ合った。 平賀:みんな、ありがとう。これからどんなことがあるかわからない。十分気をつけてほしい。なる君、が本名だね。これからよろしく。 ゲーセンで噂を聞いていただけだった平賀正義は、なるの本名を知らなかったのである。 平賀正義となるは固く握手した。 平賀:さて、早速だが・・・。 平賀正義はなるに突然言った。 平賀:なる君、自分のエントリーネームについて、どう思う? なる:えっ? 平賀:いま、君は「NAS」という名前を使っているようだが、それでは汎用的すぎると思わないか? なる:汎用的・・・ですか? 平賀:「NAS」と名乗っている全国のゲーマーはたくさんいるはずだ。やはり日本一のゲーマーを目指すなら、自分だけの名前が必要ではないだろうか。 なる:自分だけの名前? 平賀:その通り。己の存在をアピールするとともに、全国にその名を轟かせてこそ最強のゲーマーとなる。有名になれば、最強のゲーマーを探している組織の連中は必ず接触してくるし、そうなれば組織の情報を探ることができるかもしれない。 なる:なるほど。 平賀:真剣に、一度名前について考えてみてもらえないだろうか。 なる:わかりました。 平賀:君のように「NAS」という名前がすでにあるのなら、それに何かを付け足して組み合わせることによって、誰も使っていない名前にするのが一番簡単ではないかな。 なる:付け足す・・・。 平賀:難しく考えなくてもいいさ。もちろん、迷ったら全く新しい名前を考えて心機一転ってのも、いいかもしれない。 なる:名前、か・・・。 なるは数日の間、ゲーマーとしての自分の名前についていろいろ考えてみた。 しかし、いいアイデアは浮かばなかった。 ある日の『GAMER』店内。 なる:簡単なようで、考えてみるとこれが結構難しいんだよなあ。 あかね:『NAS』だって、突発的に出来た名前なんでしょ?なら、無理していろいろ考えずに、偶然をきっかけにした方がいいんじゃない? なる:う〜ん。 ゴウ:名前って、ゲーマーである限りずっと使い続けることになるんですよね?だったら、自分が好きな名前にしないとダメなんじゃないでしょうか。 その日『GAMER』に来ていたゴウは言った。 愛:そうだよ、自分が好きなものなら愛着がわくんじゃない? あかねの妹、愛はめったに『GAMER』を訪れることはないが、この日はたまたま店に寄っていた。 中学生になったが、長い黒髪と愛くるしい丸い瞳は昔と変わっていない。 なる:好きなもの・・・か。 愛:好きな物とか、好きな人とか。それが一番いいかも。 あかね:好きな人・・・そうね、なる、『NAS水咲』にしなさい。 なる:えーーっ、なんでそんな名前にしなきゃいけないんだよ? なるの頭に、あかねのエルボーが炸裂した。 なる:名前を考えるだけで、どうしてこんなに命がけなんだよ。 涙目のなるは頭を押さえながら言った。 あかね:いいと思うんだけどなあ、『NAS水咲』。 なる:実は、名前の候補はあるにはあるんだけど・・・。 ゴウ:えっ、なる様、誰か好きな人がいるんですか? ゴウの質問に、みんなの視線がなるに集まった。 なる:ちょ、ちょっと、何みんな。集まったりして。 愛:興味津々〜。 あかね:私の他に誰か好きな人なんかいたら、絶対生きて返さないわよ、なる。 ゴウ:どうなんです、なる様? なるは返答に躊躇(ちゅうちょ)した。 なる:えーと、その、えーと。 みんな:なる、はっきりしなさい! しばらくして、なるは言った。 なる:いる。 あかね:えっ・・・。 愛:お姉ちゃんじゃなくて? なるはうなづいた。 あかね:な・ん・で・すっ・て〜。 あかねは拳を握り締めながら、なるに向かおうとした。 ゴウは必死にあかねを止めた。 愛:その人は、どんな人? なる:どんな人って言われても・・・とても可愛い人だよ。 なるは幸せそうな顔でそう言った。 あかねの怒りゲージは徐々に上昇していた。 ゴウは身を挺してあかねを押さえていた。 愛:で、その人とはどういう関係? なる:あの・・・その・・・毎日会いに行ってる。 みんな:ま、毎日〜!!! みんなは驚きの声をあげた。 なるがそれほど真剣に惚れた女性がいるというのだ。 あかね:『GAMER』にだって毎日来ないくせに・・・毎日会ってるですって・・・もう、絶対に許せない。 あかねは自分を押さえていたゴウを跳ね飛ばすと、なるにつかみかかった。 なる:うわっ、あかね、ちょ、ちょっと待て、待ってくれ。 あかね:問答無用〜!!! あかねはなるを思いっきりぶっ飛ばした。 ゴウ:い、痛そう・・・。 愛:なるお兄ちゃん、大丈夫? しばらくした後、なるはよろよろと起き上がると、こう言った。 なる:それでも・・・あの人が・・・好きなんだ。 なるは微笑んでいた。 ここまで言われると、あかねは逆に何もできなくなってしまった。 ゴウ:ここまでなる様を惚れさせた相手って? 愛:一体、誰なの? なる:僕は、『NAS』の後ろ側にあの人の名前を付け加えることに決めた。今、決めたよ。この名前なら一生後悔はしないと思う。 愛:誰なのか説明してよ、なるお兄ちゃん。 なるは言った。 なる:わかった。今から紹介するよ。ゲーセンに行こう。 なんと、その相手はゲーセンにいるらしい。 ということは、ゲーマーということか? 愛:相手はゲーマーなのね? あかね:私も行くわ。直接そいつと勝負するわ。どちらがなるのパートナーにふさわしいか決着をつける。 ゴウ:こりゃ、大変なことになったぞ〜。女と女の戦い。これはあきらかに血を見ることになりそうだ・・・。 なるとみんなは、ゲーセンに向かった。 果たして、なるが大好きな人とは一体誰なのか? 名前にまで付けたいほど惚れている相手とは? つづく |