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2005.5.11
連続小説
「GAMER 〜NAS芹沢物語〜」

(NAS芹沢@大阪PalmIII)



私の名は「なる」。
あ、いや、現在の名は「NAS芹沢」(なす・せりざわ)。
それは、私がゲーマーだった頃。
遠い昔のお話・・・。

第18回「強者現る! その名は平賀正義」


なるは、ゲーマーの道を選んだ。
そしてその道を突き進んだ。
やがて、数々の名作ゲームを生み出した時代に、多くのゲーマーたちが現れては、消えていった。
なるは高校生になり、あかねは進学せず名実ともに(?)喫茶店の看板娘となった。
ゲーマーとしてパートナーの活躍は変わらず、数々の名勝負を残したことは語るまでもないだろう。
そんなゲーマーとしての日常が続く日々。

その噂は突然やってきた。
ある日の、喫茶『GAMER』店内。

なる:平賀・・・正義?
水咲幸治:そう。それが今、このあたりで評判になっているゲーマー。
ゴウ:なる様。ご存じなかったんで?梅田はもうそいつの評判でもちきりで・・・。
なる:いや、全然知らなかった。

学校の黒い制服を着ることがなくなって、すっかりパステルカラーのカジュアルな服装に身を包んだゴウを見ながら、なるは言った。
初めて聞く名前だった。

水咲幸治:平賀正義(ひらが・せいぎ)。本名かどうかはわからんが、歳は20代後半。このあたりの実力のあるゲーマーはすでに、ほとんどの者が敗れ去っているらしい。
なる:そ、そんなにすごいんですか?
水咲幸治:うむ。そういう凄腕のゲーマーが現れたという話は何度もあったが、今回は少なくとも今までよりはすごい男が現れた、ということになるかもしれん。
ゴウ:そんなにすげーやつが、なんでまた梅田に現れたんでしょう?

そのとき店のドアが開き、白いシャツとジーパンが見えた。

あかね:もっちろん、なると戦うためよね。

あかねは店内に入ってきたかと思うと、シャツの上に羽織っていた赤いジャケットを脱ぎ捨てて、なるが座っているカウンターの隣に座った。

なる:僕と?
あかね:そうよ、きっとそうだわ。その証拠に、その男は強いゲーマーとしか勝負をしていない。
なる:で、僕も狙われると?
あかね:当たり前じゃない。そして、なるを倒してその美人パートナーを自分のモノにしようとしているに違いないわ。絶対そうだわ。戦うしかないわ!
一同:・・・・・・。(美人って、誰よ?)

あかねが言ったことは、間違っていなかった。
しばらくして、喫茶『GAMER』に手紙が届いたという連絡がなるの元にあった。

なる:挑戦状?
水咲幸治:差出人は「平賀正義」になっている。本物の挑戦状だとみて間違いないだろう。一週間後の日曜日午後3時、ゲームセンター「マリオン」に来られたし。
ゴウ:これって、道場破りみたいなもんか?
あかね:なる、どうするの?
なる:とりあえず受けてみようと思う。うまい人ということなら余計に対戦してみたい。
ゴウ:なる様の勝ちに決まってる!
あかね:私も行くわ。一人で来いとか書いてないみたいだし。
水咲幸治:なる君、気をつけろ。ただのゲーム勝負ではないような気がする。
なる:はい。
あかね:私がついているから、大丈夫よ。
ゴウ:あかねさんがついてるから心配なのでは・・・。

その直後、ゴウはあかねの右腕から繰り出されたウエスタンラリアットを食らって気絶した。

あかね:万が一、なるに何かあったら私が平賀正義を倒すわ。

あかねは右腕の力こぶを見せながら微笑んでいた。

なる:(ゲーム勝負で倒そうと思ってないだろ、それ・・・)

一週間後、なるとあかねは梅田のゲームセンター「マリオン」にやって来た。

あかね:ええーっ、何これどういうことぉ〜?

お店は日曜日だというのに、シャッターが閉まっており「本日休業」の張り紙がしてあった。

なる:行こう。

なるとあかねはしばらく見つめ合った後うなづき合うと、二人でシャッターを持ち上げた。

店内はすべての筐体に電源が入っていて動いており、営業中のような状態だった。

男の声:ようこそ!

店内の中央付近には、男が立っていた。
情報通り、歳は20代後半のような感じ。
男性にしては肩までかかっている長い髪が特徴的であった。
しかしながら丁寧に手入れされているようなその髪は美しく輝いており、男の顔も美形、体も長身である。
なぜかカウボーイハットをかぶっている。

なる:こんにちは。
あかね:なに敵に挨拶してんのよ、なる。気をつけて。
男の声:ようこそ、NAS君。そして元気なお嬢さん。
なる:僕のことがわかるんですか?
男の声:もちろん、有名人だからね。私の名は平賀正義。ぜひ、君と対戦してみたいと思っていた。
なる:僕も、あなたの噂を聞いてから、勝負してみたいと思っていました。
平賀:おお、それなら話は早い。ぜひ、手合わせ願いたい。

なるはほっとしたような表情を見せてあかねに言った。

なる:あかね、全然恐そうじゃなくて、いい人っぽいよ。ねえ、あかね、あかね?

あかねは全く反応をしなかった。ずっと平賀正義を見つめている。

なる:あかね?

あかねは、なるの方を向かないまま、照れたような顔をして言った。

あかね:平賀正義・・・・・かっこいい〜。(ぽっ)
なる:だめだこりゃ。

平賀正義となるは、店内の中央付近に2台横に並んでいるフリープレイ設定(お金を入れなくても遊べるような設定)された筐体にそれぞれ座った。
使用ゲームは、発売されたばかりのシューティングゲーム。

平賀:勝負は、全面クリア後のスコアが多いほうが勝ちの一回勝負。
なる:わかりました。
あかね:(この人、はじめから自分もなるも全面クリアすることを前提にして話をしている・・・なんて人なの)

ギャラリーは水咲あかね、ただ一人。
静かな店内に緊張が張り詰める。

平賀:お嬢さんにこの勝負の立会いをお願いしたい。
あかね:引き受けるわ。この勝負、私が最後まで見届けます。
平賀:NAS君、はじめよう。

平賀正義はそういうと、筐体に向かってスタンバイした。

なる:お願いします。

なるも深呼吸した後、少しあかねを見てから筐体の方に集中した。

あかね:では、いきます。ゲーム・・・スタート!

平賀正義となるはほぼ同時にスタートボタンを押した。

あかね:なる、がんばって!

ゲーム開始直後から、すでにあかねは二人のプレイに魅了されていた。
二人とも、流れるようなレバーさばき。
しかも、その動きに無駄が全くない。
あかねは二人のプレイを交互に見比べながら、目を離すことができなくなってしまっていた。

あかね:すごい、今まで見てきたどの対戦相手よりも、すごい。

あかねは平賀正義を見てそう言った。

あかね:しかも、かっこいいし。(ぽっ)
なる:どっちの味方なんだよ。あかね。

なるはまだしゃべる余裕があった。

ほどなくして、なる、平賀正義ともに1面をクリアした。
この時点で、なるも平賀正義も全く同じスコア。
双方とも得点効率もまったく同じ、これ以上はないという点の取り方だった。

あかね:わからない・・・この戦い、どちらが勝つのか・・・。

平賀正義との対決がはじまった。
予想通り勝負は序盤から互角の展開。
果たして、なるは平賀正義に勝つことができるのであろうか?

つづく


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