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2005.2.5
連続小説
「GAMER 〜NAS芹沢物語〜」

(NAS芹沢@大阪PalmIII)



私の名は「なる」。
あ、いや、現在の名は「NAS芹沢」(なす・せりざわ)。
それは、私がゲーマーだった頃。
遠い昔のお話・・・。

第12回「あかねVS美奈 宿命の再会!」


戦いが終わったゲームセンターの隅にできた歓喜の輪が解けたとき、なるとあかねは初めてその輪に入っていない人が二人いることに気づいた。

そこには、なる達と歳は同じくらいの男の子と女の子が立っていた。

男の子はなんと外人で背が高く、紺色のジャケットに白いズボン、逆立った金髪の短い髪が光っていた。
女の子はマラソン選手かと思うような格好をしている。
上は赤いジョギングウェアのようなものを着ているが下は短パンをはいていて、細くて長い足がこちらも光っていた。
茶色の髪の毛をポニーテールにしている。

女の子:やっと私に気づいてくれたのね、あかね。

やや皮肉めいた言い方だったが、女の子は笑っている。
あかねの知り合いらしかった。

あかね:あーっ、なんでこんなところにいるの?
女の子:なんでじゃない、さっきまで戦ってたろうが。

なんとも普通の女の子らしくない、荒々しい言葉遣いの子だ。
え、戦ってたってことは・・・?

なる:あ、あの・・・。
女の子:ん? あんた誰?

女の子はなるをじっと見た。
それを見たあかねはなぜか、かばうようにしてなるの前に出た。

あかね:美奈、あんたもしかしてさっきのゲーム大会に出てた?

そういえば、さっきの大会で2位になったペアを「ロバートと美奈」って言ってたような気がする。
なるはとっさにそう思い出した。

美奈:まさか、ゲームでもあかねに負けてしまうとは思わなかったわ。でも、そっちの男の子の力「だけ」で勝てたように見えるけどねえ。

美奈はそう言ってなるに向かって微笑んだ。

あかね:余計なお世話よっ。
なる:違う、あかねの適切なアドバイスがなければ、僕たちは勝てなかった!

なるは美奈に向かってそう言い切った。
美奈は驚いたような顔をして、その後言った。

美奈:いいパートナーね、あかね。
あかね:・・・素直にありがとうと言っておくわ。

あかねは鋭いまなざしのまま、そう言った。
その鋭さから逃れるように、美奈はなるの方を向いて言った。

美奈:あなた、ひ弱そうだけど、ケンカは強いの?
なる:え?
美奈:あら、その女と一緒にいたかったら、強くなくちゃいろいろ大変よ。
なる:えっ、どうして?
美奈:あなた、本当に知らないのね? あかね、自分から言ってやりなさいよ、どうしてなのか。

あかねは無言だった。
なるはあかねを見つめた。

美奈:言えないわよね。じゃあ、私が代わりに説明してあげる。あかねは、私と毎日のように戦ってたのよ。
なる:戦っていた?
美奈:そう、拳(こぶし)でね。私とあかねはお互いライバルだったの。小学生の頃はどちらも手のつけようがないくらいの不良だったんだもん。
なる:拳?不良!?

なるは驚き、そしてあかねを見つめた。
今のあかねの姿からはそんな様子はみじんも感じられない。

美奈:噂では少し聞いてたけど、本当に足を洗ってたわけだ。

美奈はそう言って、金髪の男の子に近づいて腕をからめた。
あかねは動かないまま無言だった。

美奈:いや〜大変だったのよ。悪いと思われることは二人とも何でもやってたわ。あかねのパンチは男だって一撃でやられるくらい強いわよ〜。それに、

あかね:もうやめて。もう・・・。
美奈:あら、事実じゃない全部。過去を消すことはできないわ、誰も。
あかね:美奈。
美奈:そんなにその男の子に知られたくなかったわけ? まあ、純情な娘だこと。昔のあれは何だったのかしら。

美奈はあきれたようにあかねに言い放った。
あかねはまた無言になった。

しばらく四人とも無言になった後、美奈と腕を組んでいた男の子は、なるに言った。

男の子:あなたの素晴らしいプレイをぜひこの目で見たかった。あんな高得点はこれまで見たことありません。

男の子はどう見ても外人だったが、やたらと日本語が上手だった。

なる:ロバートさん、でしたよね? ありがとう。
ロバート:またいつの日か、勝負しましょう。
美奈:あかね、今日のところは負けといてあげるわ。またね。
あかね:・・・。
美奈:次に会うときもゲームで勝負しようかしら?それとも、昔を思い出して、拳でやってみる?どちらも楽しそうね。

ロバートと美奈は去っていった。
あかねはなるに背を向けたまま、動かない。

なる:あかね。
あかね:私、私・・・。
なる:あかね。

なるはあかねに近づこうとした。
あかねは突然叫んだ。

あかね:わたし、知られたくなかった。
なる:あかね・・・。

次にこうつぶやいた。

あかね:知られたら、なるに嫌われる。なるが一緒にいてくれない。そう思ってたから。
なる:・・・。
あかね:今でも私を目の敵(かたき)にしてる人がいっぱいいるのは事実よ。これからも私のそばにいると何があるかわからない。

あかねはいつまでも振り向こうとはしない。

あかね:いろんなことになるを巻き込みたくないから、だからもう・・・

あかねはなるの方を振り向くことなく、その場を去ろうとした。

なる:あかね、過去は関係ない。

あかねの足が止まった。

なる:これからが大事なんだ。

あかねはゆっくりと、なるの方に振り向いた。

あかね:なる。
なる:僕たちはパートナーだし、あかね以上のパートナーはいない。それに、一緒にいてもらわないとゲーム大会のときに僕が困る。
あかね:なる・・・。

あかねはなるに走りよって飛びついた。
泣いていた。

なる:あかねは僕が守る。何があっても。どんなことが起こっても。

なるはあかねをぎゅっと抱きしめるのだった。

なる:それにしても、あの女の子、なんか恐かったなあ。逆にロバートさんは誠実そうな人だったな・・・。

なるとあかねは、その後も「あの女の子」、山添美奈(やまぞえ・みな)にたびたび振り回されることになるのである。

つづく

2005.2.13
連続小説
「GAMER 〜NAS芹沢物語〜」

(NAS芹沢@大阪PalmIII)



私の名は「なる」。
あ、いや、現在の名は「NAS芹沢」(なす・せりざわ)。
それは、私がゲーマーだった頃。
遠い昔のお話・・・。

第13回「ただいま、お母さん。」


しばらくして、なるは「GAMER」店内であかねの父にあかねの小学生の頃の話を聞くことにした。
あかねが近所のゲームセンターにサンドイッチを届けに行って、ちょうどいなかった時のことである。

水咲幸治:たしかに、なる君の言う通り。

あかねの父は、なるには何一つ隠さずに全てを話してくれた。

水咲幸治:あかねと愛の母は、彼女たちが幼い頃に亡くなったのだ。
なる:そうでしたか・・・。
水咲幸治:あの二人は母の愛というものをほとんど知らない。小学校高学年になってからあかねの心が荒れていたのも、そこに原因があると私は思っている。
なる:でも、今はあんなふうに・・・。
水咲幸治:しかし、心の奥のどこかで母親を求めているんだと、私は思う。あかねが自分自身その心の奥を他人に見せないように隠して生きていると感じることがあるのだよ、なる君。

なるは、しばらく考えた後、こう言った。

なる:僕には幸いなことに父も母も生きています。それが幸せなことなんだということが、普通に暮らしているとわからない。しかし、それがわかったような気がしました。
水咲幸治:なる君の言う通り。人間というものは、失ってはじめて大切なものがわかることがあるんだよ。二人には何もしてやれなかった・・・。

あかねの父はそう言うと、遠くを見つめるような顔をした後、コーヒーを飲み干した。
そのしぐさを見ただけで、なるには悲しさが伝わってきたような気がした。

数日後、なるは一緒に行きたいところがあると言って、あかねを誘った。

あかね:珍しいわね、なるが誘ってくるなんて。なんか企んでるでしょ?
なる:そ、そ、そんなことはないよ。

なるは嘘をつくのが下手だった。

あかね:まあ、いいわ。なるが行くところだったらどこへでもついて行ってあげる。

そう言ったあかねは、いつものように笑顔だった。

なるは、あかねに電車に乗るように言った。

あかね:一体、どこに行こうとしているの?

なるは答えない。
あかねもそれ以上は聞かなかった。

なるは梅田から少し離れたところにある駅で電車を降りると、まっすぐある方向へと歩いていった。
あかねもなるについて行く。
すると、しばらく歩いた後に一軒の小さな木造の建物が見えてきた。
屋根には大きな白い看板があり、「真田商店」と書いてある。

あかね:これって、もしかして駄菓子屋?

店の軒先には、あるわあるわ、たくさんの種類の駄菓子たち。
当たりくじ付きのお菓子や大きなビンに入ったお菓子、さまざまな物が並んでいる。
天井から吊るされたお菓子は一列に並んでおり、まるでお菓子で出来たカーテンのようだった。

あかね:うわぁ、美味しそう〜。

あかねは子供に戻ったようにいろんなお菓子を見て回っては、はしゃいでいた。
100円持っていれば3個は買えるようなお菓子たちである。

なる:お菓子もいいんだけどね、今日はこっちなんだ。

なるはそう言うと、店の奥のほうに入っていった。
あかねは店の奥の方から、子供たちの歓声がするのを聞いた。

あかね:何があるんだろう?

あかねはなるの後を追うように、店の奥に入っていった。
するとどうだろう、6畳くらいの店の中に5〜6台のアップライト筐体(テーブル型ではなく縦置きで立ったまま遊ぶ筐体)のアーケードゲーム機が置いてあったのだ。
そこには小学校低学年くらいの男の子や女の子がお菓子を食べながらゲームをプレイしていた。

あかね:こ、これはっ!

そのとき、店のさらに奥から声があった。

女の人:いらっしゃい。

奥から出てきた人は、初老の女性だった。
地味な着物を着ていて、白い前掛けをしていた。
これが普段着なんだとあかねは後で知ったが、知らなかったら料理の途中にひょこっと出てきたように見える格好だった。

なる:真田(さなだ)のおばちゃん、こんにちは。
女の人:おや、いらっしゃい、なる。今日はお友達も一緒かい。
なる:この人は、真田のおばちゃん。このお店のおばちゃんだよ。

なるはあかねにそう言うと、先ほど店にあったお菓子をおばちゃんに見せて、お金を払っていた。

あかね:こんにちは。水咲あかねです。あ、なる、ずるい、自分だけ買ってるし。
なる:これを食べないと、いいスコアが出ないんだよ。

意味不明の言い訳をしながら、なるは子供たちの輪に入っていった。

子供たち:あ、なるお兄ちゃんだ。
子供たち:一緒に遊ぼう、なるお兄ちゃん。

子供たちはそう言いながら、あっという間になるのまわりを取り囲んだ。

あかね:このお店は、おばちゃんのお店なんですか?
真田のおばちゃん:そう。お父ちゃんはずいぶん前に亡くなってしまっててね、おばちゃん一人で住んでるのよ。
あかね:そうですか・・・。私、お菓子屋さんにこんなにたくさんゲームがあるのを初めて見ました。どうしてこんなにたくさんゲームの台があるんですか?

おばちゃんは一呼吸置いた後、こう言った。

真田のおばちゃん:たくさんあればあるほど、子供たちの笑顔がたくさん見られるからよ。

そう言ったおばちゃん自身がものすごく笑顔だった。
あかねはこのとき直感した。
なるは私を笑顔にするためにここに連れてきた、と。
もう絶対なるの前では涙を見せないでおこう、あかねはそう思った。

その後も、あかねは真田のおばちゃんとお茶を飲みながら語り合っていた。
どうやら、おばちゃんは自分には子供はいないようで、お店に来た子供たちを自分の子供のように思っているのだという。
ものすごく親切な人だった。

真田のおばちゃん:ほんに、あかねちゃんとお話していると、娘が出来たみたいだねえ。
あかね:おばちゃんとお話してると楽しいわ。また来ます。今度は妹も連れてこようかな。

あかねは笑顔だった。

なる:あかね〜、ちょっと代わってくれ〜遊びすぎて手が痛くなってきちゃった。

それは、子供たちにせがまれて何度も何度もいろんなゲームを遊んでいた、なるの悲鳴にも似たような声だった。

あかね:ようし、今度はお姉ちゃんがなるお兄ちゃんのハイスコアを抜いてあげるわ!

あかねはそう言うと、薄手の白いシャツの袖を持って腕まくりしながらアップライト筐体に向かった。
その日、「真田商店」は夕方になっても歓声が止むことはなかった。

・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

かなり後になって人から聞いた話だが、あかねはその後もよく「真田商店」を訪れていたらしい。
そして、真田のおばちゃんには必ずこう言っていたという。

「ただいま、お母さん。」


つづく

2005.2.19
連続小説
「GAMER 〜NAS芹沢物語〜」

(NAS芹沢@大阪PalmIII)



私の名は「なる」。
あ、いや、現在の名は「NAS芹沢」(なす・せりざわ)。
それは、私がゲーマーだった頃。
遠い昔のお話・・・。

第14回「大人になったら何になる?」


ある日の中学校での会話。

学校の友人:なる、お前大人になったら、何になりたいんだ?
なる:えっ?
学校の友人:何か夢とかある?
なる:大人になったら? 夢? うーん・・・。

なるは中学2年になっていた。
唐突に聞かれたので何と答えようかすぐ考えてみた。
しかし、2年になったとはいえ、なるはまだ具体的なことは何も考えていなかった。

学校の友人B:なるのことだから、やっぱりゲーマーじゃないのか?

これまた唐突にそう言い放った友人のひとことで、まわりにいたみんなが笑い出した。

なる:ま、まさか・・・そんなの職業になるわけないじゃないか。

なるも笑っていた。
まだ、ゲーマーが職業として成り立つことが当たり前ではない時代の話である。

なる:でも、パソコン雑誌でゲームのレビューを書く仕事とか、面白そうだなあ。

すでに同人レベルでゲームレビューを書いていたなるにとって、パソコン雑誌などでゲームの記事を書いているライターというのは憧れであった。

なる:夢、か・・・。

その日の放課後。
なるは学校のプールにいた。
そう、なるは水泳部に在籍していたのである。
なるは3歳の頃から水泳教室に通っており、泳ぐことをずっと続けていた。
中学でも水泳部を選んだのである。

高野:なる、次の日曜はいよいよ今年最後の大会ね。

プールサイドでそう話しかけてきたのは、女子の3年生の先輩、高野佳恵(たかの・よしえ)だった。

なる:あ、高野先輩。そうですね、自己ベストが出せるようにがんばります。
高野:なると一緒に出場する大会も、これで最後ね。

高野先輩はちょっぴり残念そうな顔をしていた。

なる:先輩はいよいよ引退、そして秋から受験ひと筋ですね。
高野:そうね、日曜日の大会で完全燃焼して、自分を出し切って、そして引退しようと思うわ。

高野先輩は水泳部の女子メンバーの中で一番なるを可愛がってくれていた。
なるもそのことがうれしかった。

高野先輩は体もそれほど大きくはなく、目立つ存在ではなかったが、個性的な先輩だった。
他の女子の先輩たちは黒や紺色を基調とした地味な競泳用水着を着ていたが、高野先輩は一人だけ赤や黄色、オレンジなど明るい色をふんだんに使ったカラフルで目立つ競泳用水着を使っていた。

なるはあまり目立つことをする人間ではなかったこともあり、隠さずに自分を表現する高野先輩にあこがれていた。

守田:はい、男子はあと50メートルを6本!

キャプテンである、守田弘美(もりた・ひろみ)の声が飛ぶ。
水泳部は在籍している3年生が全員女子だったので、キャプテンも女子の人だった。
面白いことに、なると同じ2年生はほとんど男子ばかり、逆に1年生の後輩は女子が多いという不思議な部であった。

なるは放課後に3〜4kmを毎日泳いでいた。
そのときに身につけた体力と忍耐力は、その後のゲーマーとしての人生に大きく関わっている。

守田:今日はこれで終わりにしましょう!

この日は、30分ほど早く練習が切り上げられた。

守田:では、これより日曜日の大会の出場選手と種目を発表します。

守田先輩は全員を集めて、話をした。
大会では各自の得意種目をメインにして出場する。
そして、リレー競技など複数の選手で出場する種目については、3年生を中心に話し合われてメンバーが決まるのだ。
今日はそのメンバーが発表される日。

守田:なるは、いつものあれ、バックね。
なる:はい。

なるは部で「バック」と呼ばれていた背泳が得意であった。
背泳を得意とする選手は少なかったので、背泳に出場する選手は自動的になるに決定するのだった。

各種目に出場する選手の発表があった後、リレーについての話が出た。

守田:男女混合メドレーリレー200mは、なる、佳恵、ささぼんと私でいきます。

男女混合メドレーリレーとは、背泳、平泳ぎ、バタフライ、自由形を男女2人ずつの4人のメンバーで競うリレー競技である。
なるは第一泳者である背泳を担当することになった。

なる:ぼ、僕が、トップバッターですか。
守田:そうよ、あなたは3年の女子よりもバックが速いし、これでいくわ。

ささぼん:なる、がんばろうぜ。

話しかけてきたのはバタフライに任命された、ささぼんだった。
ささぼんは、体格のいい2年男子の中でも特に抜きん出た実力の持ち主である。
夏に泳ぎまくったこともあり、見た目は非常にかっこいいサーファーのようだった。

なる:ささぼん、僕もがんばるよ。

その日、なるは高野先輩と一緒に帰った。

なる:先輩は、大人になったら何になりたいですか?
高野:なる、どうしたの急に?
なる:実は学校でこんな話をしていて・・・
高野:ふうん、そうねえ、私はデザイナーになりたいの。
なる:デザイナーですか?
高野:そう、洋服とかをデザインするファッションデザイナーが夢といえば夢かな。
なる:へえ〜先輩ってちゃんと先のことを考えているんですね。すごいなあ。

なるは、水着や普段着など、どうして高野先輩が個性的な格好をしていたか、その理由がやっとわかったような気がした。

高野:人によって夢がはっきりする時期はバラバラだと思うわ。今すぐに結論を出さなくてもよいと思うわよ。
なる:僕はまだわからないや。
高野:でも、何を目指そうともずっと水泳をやってきたことは絶対に役に立つときが来るわ。大事なのは継続することよ。
なる:はい。

なるは笑顔だった。

高野:じゃあ、また明日ね。
なる:はい、失礼しますっ。

なると高野先輩はそれぞれの帰り道に分かれた。

なる:大人になったら、何になろう。

なるは考えながら歩いていた。

なる:そのうち、答えが出るのかな。

そのとき、なるは不意に呼ばれた。

ささぼん:なる、ちょっと遊んでいかないか。

それは、ささぼんと水泳部の仲間たちだった。
先に帰ったと思ったら、近所の駄菓子屋の前に1台だけ置いてある、サッカーゲームのアップライト筐体を取り囲んでみんな遊んでいた。

なる:あ、ささぼん。

なるはしばらくそこでみんなと遊んでいた。
なるが通っていた中学校にはサッカー部が無かったこともあり、サッカーゲームは近くの中学生たちの人気ゲームだった。

ささぼん:ゲームだったら何やらせても金メダル取れるなあ、なるは。
なる:そうかな。でも、日曜日の大会でもがんばるよ。
ささぼん:うん、お互いベストを尽くそうぜ。

悩むことができるのも若いうちの特権だ。
なるは、自分の「夢」について考えさせられる多くのことを2年生で体験することになるのだった。

つづく


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Akiary v.0.51